フルオート色彩選別機

仕事を知る開発ストーリーフルオート色彩選別機

STORY04フルオート色彩選別機「イージー」 開発

自動選別機能を搭載。
市場優位を生む、
ユーザー目線の製品を市場へ。

技術二課 主幹 青島 由武
技術二課    杉山 治樹
技術二課    花嶋 晃

不良米を取り除く色彩選別機の世界は価格競争が激しい上に、各社こぞって新商品の開発にしのぎを削っている。静岡製機は農業分野で培った技術を注ぎ込み、他社に先駆けて良品、不良品を自己判断する「自動調整機能」を搭載。ユーザーの使いやすさを徹底追求し、新たな市場優位性を築き上げる製品開発を進めた。

ユーザーの声をコンセプトに

「市場調査をしていると、メンテナンスしやすい、掃除が簡単といった何気ないことが、ユーザーから求められていることがよくわかりました」と、開発コンセプトの背景を話すのは開発リーダー青島。今回の開発では、高精度であることはもちろん、「使い勝手」がコンセプトとして挙げられていた。「色彩選別機を使うと米の粉塵がどうしても発生します。精度を保つための対策に加えて、食品を扱うわけですから清潔であることが重要です。小型の色彩選別機は農家で使われることが多く、掃除などは主に農家の主婦の方がなさっていたんです。ですから機械の操作を含め女性でも簡単にできることを目指しました」。市場競争が激化する中、優位性を確保するため、ユーザーニーズに立脚した静岡製機ならではの新製品開発が始まった。
技術二課 主幹 青島 由武 写真
技術二課 主幹 青島 由武

計測器の開発で培ったノウハウが注ぎ込まれる

市場のニーズに応え、価格競争に打ち勝つには、機能面でも他社との差別化が必要だった。そこで今回採用されたのが、適正な米を自己判断する「自動調整機能」だ。「米は、産地や品種によって色つやが全然違います。従来ですと、メーカーなり機械の操作に慣れた人でないと基準値の設定ができなかったんです。ですから毎年設定し直さなければいけません。それを自動でできるようにしたのが、『イージー』です」と語るのは、ソフトウェア担当の杉山。米の選別には、米の良しあしの見極めが重要になる。杉山は単にソフトウェア開発を担当しただけでなく、米の計測器の開発に長く携わってきたノウハウを注ぎ込んだのだ。「さまざまな産地や品種の米のサンプルを採取して、それをソフトウェアに落とし込んでいくのが私の役割でした。開発に空白期間もあった上に今回は特にスピードを求められたのが一番苦労した点です」。
技術二課 杉山 治樹 写真
技術二課 杉山 治樹

2台のカメラを使うことで、ヤケ、シラタの同時選別を実現

米粒には、虫の被害により黒ずんだ「ヤケ」や、高温障害による白色不透明の「シラタ」などがある。これまでは「ヤケ」や「シラタ」の選別を一度に行うことができず、設定を変えて米を二度選別機に通す必要があった。「ヤケやシラタの選別を同時に行えるようにする。これも今回の差別化の一つです」と言うのはメカ担当の花嶋。すでに大型の選別機では同時選別が行われていたが、小型のものではコスト面から実現している製品はなかった。「今回はカメラを2台使用しました。難しかったのは、この2台のカメラで対象の米粒をどうとらえるか。加えて光をどう当てるかという、カメラと照明の配置です。位置が少しでもズレてしまうと、全く選別機として機能しません。まずは図面を起こして、試作機を作り、配置を確かめながらの開発でした」。
技術二課 花嶋 晃 写真
技術二課 花嶋 晃
MESSAGE密な情報交換で、開発のブレを解消
開発中、週に一度は必ず3人でミーティングを実施。開発のリーダーである青島は「常に問題点や課題を共有し、開発を進められたことで、方向性のブレをなくすことができました」と振り返る。「企画段階から製品化までそのほとんどに携わり、製品が市場に出ていくときは、子どもが巣立っていくような感覚でした。思い入れも深いですね」。2009年10月、約1年をかけて、フルオート色彩選別機「イージー」は市場に投入された。操作ボタンを押せば、自動で米の適正レベルを調整してくれる。これまでにない使い勝手の良さは、市場での評判も上々だ。